2.アルミフレームの接続強度の検討その1

いくら丈夫な材料を使っても、十分な接続強度が得られていないと、破壊が発生します。

白丸で囲んだ部分に注目して下さい。フレームがたわむと、天梁のエッジを軸としたその周りに、オレンジ色の矢印のような回転運動を引き起こす能力が発生し、足と梁の接続部を折り曲げようとします。これをモーメント(力の能率)といいます。モーメントは「軸から作用点までの距離×作用する力」で表されます。

天梁は長さ1000(mm)の25Lフレーム、赤い矢印の荷重は30(kgf)。フレームの中央が作用点だから軸から作用点までの距離は500(mm)、四本足とすると作用する力は、
30(kgf)÷4=7.5(kgf)。
従って、発生するモーメントは
0.5(m)×7.5(kgf)=3.75(kgf・m)

技術資料25シリーズTロック結合の破壊モーメント表を見ると、F25Lは4(kgf・m)だから、「破壊しない」と考えられます。しかし、バラツキ等の不確定要素を考慮して余裕を見ておかなければなりません。使用条件が静荷重の場合は、算出された発生モーメントの5倍を満たすように設計するのが無難でしょう。
従って、安全率を5とすると必要な耐破壊モーメントは
3.75(kgf・m)×5=18.75(kgf・m)
となるので、補強または、構造の見直しが必要であることが判明しました。

てこの原理を思い出してみてください。安全率を加味した赤い矢印30(kgf)が、Tロックの破壊強度である緑の矢印とつりあえば良いのです。

Lブラケットで補強すると、支点がフレームのエッジから30(mm)中央へ移動します。補強無しの場合、Tロックはフレームの中心で接続していますから、軸との距離は12.5(mm)、Lブラケットで補強した場合は、
12.5(mm)+30(mm)=42.5(mm)
軸と作用点の距離が
42.5(mm)÷12.5(mm)=3.4倍
になるので、F25L+Lブラケット補強の破壊モーメントは
4(kgf・m)×3.4=13.6(kgf・m)
となり、まだ望ましい接続強度が得られません。天梁を30(mm)下げて、更に、ブラケットで補強してみましょう。

今度は主となる作用点が一番離れたブラケットを止めているボルトになります。ボルトの破壊強度の技術資料はありませんが、Tロック結合の破壊強度とフレームの溝の破壊強度がほぼ同等なので、ボルト止めによる破壊強度=Tロック結合の破壊強度として計算すると、軸と作用点の距離は、
30(mm)+25(mm)+15(mm)=70(mm)
70(mm)÷12.5(mm)=5.6倍
4(kgf)×5.6=22.4(kgf)
となり、フラットな天部を失いますが、望ましい強度が得られました。
実際は、Tロックや、軸側のLブラケットの固定ボルトも作用するので、更に余裕が得られていることになります。但し、フラットな天部は望めなくなってしまいましたね。
※本内容はDIY初心者向けに記述してあります。業界標準の荷重単位が(N)であることなど、多少の表現の違い、省略事項等がございます。

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